はじめに
チームのコミュニケーションツール、何を使っていますか。SlackやMicrosoft Teamsが定番ですが、「データは自社で管理したい」「月額料金を抑えたい」という要望がある場合、選択肢が限られてくるんですよね。
そこで注目したいのがRocket.Chat。GitHubスター数44,000超え、150カ国以上で利用されているオープンソースのチャットプラットフォームです。個人的には「データ主権を重視する組織向けのSlack」という印象を持っています。
Deutsche Bahn、US Navy、Credit Suisseなど、セキュリティに厳しい組織でも採用されているという実績があるので、信頼性という面でも安心できます。
Rocket.Chatの特徴・メリット
データ主権を完全にコントロール
正直なところ、これがRocket.Chatを選ぶ最大の理由になると思います。クラウドサービスだと、データがどこに保存されているか、誰がアクセスできるか、完全には把握できない。その点、セルフホストなら自社サーバーで完結するので、コンプライアンス要件が厳しい業界でも導入しやすいんですよね。
オムニチャネル対応
意外と知られていないのが、WhatsApp、SMS、メールなど複数のチャネルを統合できる機能。カスタマーサポートとして使う場合、お客様がどのチャネルから連絡してきても、Rocket.Chat上で一元管理できます。これ、地味に便利です。
柔軟なデプロイオプション
- クラウドホスティング: Rocket.Chat社が管理するマネージド版
- セルフホスト(Docker): 自社サーバーやVPSに構築
- Kubernetes: 大規模環境向け
- エアギャップ環境: インターネット接続なしでの運用
30代のエンジニアとしては、Docker Composeで手軽に構築できるのがありがたい。検証環境をサクッと立ち上げて、本番移行の判断材料にできます。
マーケットプレイスによる拡張性
Jira、GitHub、GitLab、Trelloなど、開発者が日常的に使うツールとの連携がマーケットプレイスから追加できます。自作アプリの開発もできるので、社内システムとの連携も柔軟に対応可能です。
インストール方法
Docker Composeを使ったセルフホストの手順を紹介します。個人的にはこれが一番手軽だと思います。
前提条件
- Docker(最新版推奨)
- Docker Compose v2
- 最低4GB以上のRAM(推奨8GB)
手順1: 公式リポジトリをクローン
git clone --depth 1 https://github.com/RocketChat/rocketchat-compose.git
cd rocketchat-compose
または、compose.ymlを直接ダウンロードする方法もあります。
mkdir rocketchat && cd rocketchat
curl -L https://raw.githubusercontent.com/RocketChat/Docker.Official.Image/master/compose.yml -O
手順2: 環境変数ファイルの作成
curl -L https://raw.githubusercontent.com/RocketChat/Docker.Official.Image/master/env.example -o .env
.envファイルを編集して、以下の変数を設定します。
# ドメイン名(ローカルテストならlocalhost)
DOMAIN=chat.example.com
# Rocket.Chatのバージョン
RELEASE=latest
# Let's Encrypt用メールアドレス
LETSENCRYPT_EMAIL=admin@example.com
# アクセスURL
ROOT_URL=https://chat.example.com
# バインドIP(0.0.0.0で全インターフェース)
BIND_IP=0.0.0.0
手順3: コンテナの起動
ローカル環境でテストする場合(Traefikなし):
docker compose up -d
本番環境(HTTPS対応)の場合:
docker compose -f compose.yml -f compose.traefik.yml up -d
手順4: 初期設定
ブラウザで http://localhost:3000(またはhttps://your-domain.com)にアクセス。管理者アカウントを作成して、ワークスペースの設定を完了させます。
# ログの確認
docker compose logs -f rocketchat
これだけで、自前のチャットサーバーが立ち上がります。時短という観点でも、30分もあれば検証環境が構築できるのは大きいですね。
基本的な使い方
チャンネルの作成
1. 左サイドバーの「+」ボタンをクリック
2. 「Channel」を選択
3. チャンネル名と説明を入力
4. プライベート/パブリックを選択
5. 「Create」で完了
ダイレクトメッセージ
ユーザー名の横にある「...」メニューから「Direct Message」を選択。グループDMも作成可能です。
ファイル共有
ドラッグ&ドロップでファイルをアップロード。画像はプレビュー表示、その他のファイルはダウンロードリンクとして共有されます。
スラッシュコマンド
/help - 利用可能なコマンド一覧
/join #channel - チャンネルに参加
/leave - 現在のチャンネルから退出
/invite @username - ユーザーを招待
/status away - ステータスを離席に変更
Webhook連携
管理画面から「Integrations」→「Incoming WebHook」で、外部サービスからの通知を受け取れます。CI/CDの結果通知やアラート連携に便利です。
// Incoming WebHookのペイロード例
{
"text": "デプロイが完了しました",
"attachments": [{
"title": "Production Deploy",
"text": "v1.2.3がリリースされました",
"color": "#2eb886"
}]
}
実践的なユースケース
1. 社内チャットツールとして
SlackやTeamsの代替として最もオーソドックスな使い方。ユーザー数無制限、メッセージ履歴の保持期間制限なしというのは、コスパ的にかなり魅力的です。
2. カスタマーサポート基盤
オムニチャネル機能を活用して、Webサイトのライブチャット、メール、SNSからの問い合わせを一元管理。LiveChat機能でWebサイトに埋め込みウィジェットも設置できます。
3. 機密性の高いプロジェクト用
エアギャップ環境(インターネット接続なし)でも運用できるので、防衛関連や金融機関のセキュアな通信基盤として活用されています。40以上の機密プログラムで採用実績があるとのこと。
4. コミュニティプラットフォーム
オープンソースプロジェクトのコミュニティ、社外パートナーとの連携基盤として。フェデレーション機能を使えば、異なるRocket.Chatサーバー間での通信も可能です。
5. 開発チームのハブ
GitHub、GitLab、Jiraとの連携で、PR作成、Issue更新、ビルド結果などの通知を集約。ChatOps的な運用で、チャットから直接デプロイを実行するような仕組みも構築できます。
まとめ
Rocket.Chatは「データ主権」「コスト最適化」「カスタマイズ性」を重視する組織にとって、有力な選択肢になると思います。
個人的には、まずDocker Composeで検証環境を立ち上げて、実際に触ってみることをおすすめします。UIはSlackに似ているので、移行のハードルも低いはずです。
セルフホストの運用コストは発生しますが、ユーザー数が増えてもライセンス費用が膨らまないというのは、長期的に見るとかなりのメリット。30代になって思うのは、こういう「所有コスト」を意識した技術選定が大事だなということですね。
気になった方は、まず公式のDockerイメージで試してみてください。
