はじめに
「あの資料どこにあったっけ?」
チームで仕事をしていると、この質問を週に何回聞くことになるか。Slackで聞いて、Google Driveを探して、結局見つからなくて同じ内容をもう一度作る。正直なところ、こういう無駄な時間が積み重なると、かなりのストレスになるんですよね。
NotionやConfluenceを使っているチームも多いと思いますが、「もうちょっとシンプルで速いのがいい」「できればセルフホストしたい」という話もよく聞きます。
そこで紹介したいのがOutlineです。
オープンソースのナレッジベースプラットフォームで、GitHubスターは36,000を超えています。ReactとNode.jsで作られていて、とにかく動作が速い。リアルタイム協調編集もできるし、Slack連携もある。個人的には、チームのナレッジ管理ツールとしてはかなり良い選択肢だと思います。
Outlineとは
Outlineは「Your team's knowledge base」を掲げる、チーム向けのナレッジベース・Wikiプラットフォームです。
シンプルで美しいUIが特徴で、マークダウン記法に対応したエディタで直感的にドキュメントを作成できます。NotionやConfluenceの代替として使われることが多いですが、Outlineの強みはスピードとシンプルさ。余計な機能がなく、「ドキュメントを書いて共有する」という本質的な部分に集中しています。
TypeScriptで書かれたコードベースは96%以上がTypeScriptで構成されており、開発者としても安心感があります。226人以上のコントリビューターが参加するアクティブなプロジェクトです。
特徴・メリット
リアルタイム協調編集
複数のメンバーが同時に同じドキュメントを編集できます。Google Docsみたいな感覚で、誰がどこを編集しているかリアルタイムでわかる。これ、意外とナレッジベースツールでは珍しい機能なんですよね。
会議中にみんなで議事録を書いたり、仕様書を複数人でレビューしながら修正したり。コラボレーションの効率がかなり上がります。
美しく直感的なUI
正直なところ、ナレッジベースツールってUIがごちゃごちゃしてるものが多い。Outlineはシンプルで洗練されたデザインで、使っていてストレスがない。ダークモードにも対応しています。
エディタはマークダウン互換で、スラッシュコマンドで見出しやリストを素早く入力できます。コードブロック、テーブル、画像の埋め込みなど、技術ドキュメントに必要な機能は一通り揃っています。
高速な検索機能
ドキュメントが増えてくると、検索機能の速さが生産性に直結します。Outlineの検索は本当に速い。しかも最近はAI回答機能も追加されて、質問を投げると関連するドキュメントから回答を生成してくれます。
「あの仕様どうなってたっけ」をチームメンバーに聞く前に、まずOutlineで検索。これだけで無駄なやり取りがかなり減ります。
Slack統合
Slackとの連携が充実しています。Slack内からOutlineのドキュメントを検索したり、共有したり、質問したりできる。チャットで「あの資料どこ?」と聞かれる前に、Slackから直接検索してもらえる環境を作れます。
公開共有とカスタマイズ
ドキュメントをリンクで外部に公開する機能もあります。ブランドカラーや独自ドメインでのカスタマイズも可能なので、社外向けのドキュメントポータルとしても使えます。
API仕様書やサポートドキュメントを公開する用途にも良いですね。
セルフホスト可能
ここが大きなポイント。自社のサーバーで運用できるので、機密性の高い情報も安心して管理できます。クラウド版もありますが、セキュリティ要件が厳しい環境や、コストを抑えたい場合はセルフホスト一択ですね。
20言語以上に対応
日本語にも対応しています。グローバルチームでも使いやすい設計になっています。
インストール方法
Outlineはセルフホストする場合、Dockerを使ったセットアップが推奨されています。本番環境で動かすにはDevOpsの知識が必要ですが、基本的な流れを紹介します。
Docker Composeでのセットアップ
まず、Outlineの公式リポジトリからdocker-compose.ymlを取得します。
git clone https://github.com/outline/outline.git
cd outline
環境変数を設定する.envファイルを作成します。主要な設定項目は以下の通り:
# 基本設定
SECRET_KEY=your-secret-key-here
UTILS_SECRET=your-utils-secret-here
URL=https://your-outline-domain.com
# データベース接続
DATABASE_URL=postgres://user:pass@localhost:5432/outline
REDIS_URL=redis://localhost:6379
# 認証設定(Slackの例)
SLACK_CLIENT_ID=your-slack-client-id
SLACK_CLIENT_SECRET=your-slack-client-secret
# ファイルストレージ(S3互換)
AWS_ACCESS_KEY_ID=your-access-key
AWS_SECRET_ACCESS_KEY=your-secret-key
AWS_S3_UPLOAD_BUCKET_NAME=your-bucket-name
Docker Composeで起動:
docker-compose up -d
認証プロバイダーの設定
OutlineはSSOを前提とした設計になっていて、以下の認証プロバイダーに対応しています:
- Slack
- Microsoft / Azure AD
- OIDC(Okta, Auth0など)
- SAML
小規模チームならSlack認証が手軽でおすすめです。Slackワークスペースのメンバーがそのままログインできます。
クラウド版を使う場合
セットアップが面倒なら、公式のクラウド版もあります。30日間無料でトライアルできるので、まずは触ってみるならこちらが楽ですね。
https://www.getoutline.com
基本的な使い方
1. コレクションの作成
Outlineでは、ドキュメントを「コレクション」で整理します。プロジェクトごと、チームごとなど、用途に合わせてコレクションを作成します。
📁 エンジニアリング
└── 📄 開発環境構築ガイド
└── 📄 コーディング規約
└── 📄 デプロイ手順
📁 プロダクト
└── 📄 機能仕様書
└── 📄 ロードマップ
2. ドキュメントの作成
コレクション内で「New document」をクリックして、新しいドキュメントを作成。エディタはマークダウン互換で、以下のような記法が使えます:
# 見出し1
## 見出し2
### 見出し3
- リスト項目
- リスト項目
1. 番号付きリスト
2. 番号付きリスト
**太字** *斜体* `インラインコード`
```javascript
// コードブロック
const hello = "world";
引用
| テーブル | ヘッダー |
|---|---|
| セル | セル |
### 3. スラッシュコマンド
エディタで `/` を入力すると、コマンドメニューが表示されます。
- `/heading` - 見出し
- `/list` - リスト
- `/code` - コードブロック
- `/image` - 画像挿入
- `/table` - テーブル
- `/embed` - 外部コンテンツの埋め込み
これ、慣れると執筆スピードがかなり上がります。
### 4. 共有とアクセス権限
ドキュメントやコレクションごとに、読み取り専用・編集可能などのアクセス権限を設定できます。チーム全体に公開するもの、特定のメンバーだけに見せるものなど、柔軟に管理できます。
### 5. 検索
画面上部の検索バーから、全ドキュメントを横断検索できます。タイトルだけでなく本文も検索対象になるので、「あのキーワードが含まれてるドキュメント」を素早く見つけられます。
## 実践的なユースケース
### オンボーディングドキュメント
新しいメンバーが入社したときに見てもらうドキュメント群をまとめておく。開発環境の構築手順、社内ツールの使い方、コーディング規約など。これがあるだけで、受け入れ側の負担がかなり減ります。
📁 オンボーディング └── 📄 はじめに読んでください └── 📄 開発環境構築 └── 📄 Slack・GitHubの設定 └── 📄 よくある質問
### 技術仕様書・設計ドキュメント
アーキテクチャの決定理由、API仕様、データベース設計など。後から「なぜこの設計にしたのか」を振り返れるようにしておくと、将来の自分やチームメンバーが助かります。
### 運用手順書
障害対応の手順、デプロイ手順、定期メンテナンスのチェックリストなど。緊急時に「あの手順どこだっけ」と慌てないために。
### 議事録・決定事項の記録
会議で決まったことをOutlineに残しておく。Slackだと流れてしまうし、後から探すのが大変。Outlineなら検索で一発で見つかります。
### 社外向けドキュメント
公開共有機能を使って、顧客向けのマニュアルやAPI仕様書を公開する。独自ドメインとブランドカラーでカスタマイズすれば、プロフェッショナルな印象を与えられます。
## 注意点
いくつか気をつけるべき点もあります。
### セルフホストは運用コストがかかる
無料で使えるのは魅力ですが、サーバー管理、アップデート、バックアップは自分たちでやる必要があります。小規模チームで運用リソースが限られているなら、クラウド版を検討してもいいかもしれません。
### 認証設定が必須
OutlineはSSO前提の設計なので、Slack、Google、Microsoftなどの認証プロバイダーの設定が必要です。単純なメールアドレス+パスワード認証だけで使いたい場合は、ちょっと手間がかかります。
### ライセンスについて
OutlineはBSL 1.1ライセンスです。オープンソースですが、一定の制限があります。商用利用を検討している場合は、ライセンス条項を確認しておくことをおすすめします。
## まとめ
Outlineは「シンプルで速いナレッジベースが欲しい」「できればセルフホストしたい」という要望にしっかり応えてくれるツールです。
- リアルタイム協調編集でチームコラボレーションが円滑に
- 美しく直感的なUIでストレスなく使える
- 高速な検索とAI回答で情報へのアクセスが速い
- Slack統合でチャットからシームレスに検索
- セルフホストで機密情報も安心して管理
30代になって思うのは、チームの生産性って「情報へのアクセスしやすさ」に大きく左右されるということ。「あの資料どこ?」という質問が飛び交うチームと、必要な情報にすぐアクセスできるチームでは、積み重なる時間の差がかなり大きい。
OutlineはそのQOLを上げてくれるツールだと思います。まずはクラウド版の30日トライアルで触ってみて、良さそうならセルフホストを検討する、という流れがおすすめですね。
公式サイト: [https://www.getoutline.com](https://www.getoutline.com)
GitHub: [https://github.com/outline/outline](https://github.com/outline/outline)
ドキュメント: [https://docs.getoutline.com](https://docs.getoutline.com)