はじめに
エンジニアとして働いていると、ふと「基礎的な理論をもっと深く理解したい」と思うことがあります。30代になって特に感じるのは、表面的なフレームワークの知識だけでは限界があるということ。根本の理論を知っていると、新しい技術が出てきても応用が効くんですよね。
そんなときに出会ったのが Papers We Love(PWL) というコミュニティです。GitHubで10万スター以上を獲得している、コンピュータサイエンス論文のキュレーションリポジトリなんですよ。
Papers We Loveとは
Papers We Loveは、コンピュータサイエンスの重要な学術論文を読んで議論するためのコミュニティです。12年前に始まったプロジェクトで、現在では257名以上のコントリビューターが参加しています。
個人的にこれが良いと思う点は、単なる論文リストではなく「コミュニティ」として機能していること。Discordサーバーでの議論、世界各地でのミートアップ、YouTubeでのプレゼン動画など、論文を読む仲間がいるというのは心強いです。
特徴・メリット
1. 分野別に整理された75以上のカテゴリ
機械学習、分散システム、暗号技術、コンピュータビジョン、量子コンピューティングなど、75以上の専門分野に論文が整理されています。自分の興味ある分野から始められるのは効率的ですね。
主なカテゴリ:
- artificial_intelligence(人工知能)
- distributed_systems(分散システム)
- machine_learning(機械学習)
- data_science(データサイエンス)
- security(セキュリティ)
- quantum_computing(量子コンピューティング)
2. 論文の読み方ガイドが充実
正直なところ、学術論文って読み慣れていないと難しいです。PWLでは論文の読み方に関するガイドも提供されています。これ、意外と重要で、闇雲に読み始めるより効率が全然違います。
3. コミュニティのサポート
- Discord: リアルタイムで質問や議論ができる
- YouTube: 論文のプレゼン動画が公開されている
- ローカルチャプター: 世界各地でミートアップを開催
一人で論文を読むのは挫折しがちですが、コミュニティがあると続けやすいです。
4. 著作権に配慮した運営
論文のライセンスに配慮して、直接ホスティングではなくリンク形式を基本としています。📜マークが付いているものは直接読めるようになっています。真っ当な運営姿勢は信頼できます。
使い方
GitHubリポジトリにアクセス
まずは公式リポジトリにアクセスします。
https://github.com/papers-we-love/papers-we-love
興味のある分野のディレクトリを開く
例えば分散システムに興味があれば distributed_systems ディレクトリを開きます。各ディレクトリには関連論文へのリンクとREADMEによる説明があります。
論文を選んで読む
各論文にはPDFへのリンクか、arXivなど論文公開サイトへのリンクが記載されています。気になったものからピックアップして読み始めましょう。
コミュニティに参加する
より深く学びたい場合は、Discordサーバーに参加するのがおすすめです。
公式サイト: https://paperswelove.org/
ここからDiscordやローカルチャプターの情報にアクセスできます。
実践的な活用方法
週1本ペースで読む
個人的にやっているのは、週に1本のペースで論文を読むこと。毎日読むのは現実的ではないですが、週末に1本なら続けられます。通勤時間にYouTubeのプレゼン動画を見るのも時短になって良いですね。
業務に関連する分野から始める
いきなり興味本位で選ぶより、今の業務に関連する分野から読み始めると理解しやすいです。例えばバックエンド開発をしているなら distributed_systems から、ML系の仕事なら machine_learning からという具合です。
読んだ論文をメモする
論文を読んだら、要点を自分の言葉でまとめておくと定着します。ブログにアウトプットするのも良い方法です。QOLというか、エンジニアとしての成長を実感できます。
ミートアップに参加する
日本にもPWLのコミュニティがあるので、オフラインのミートアップに参加してみるのもおすすめです。同じ論文を読んだ人と議論すると理解が深まります。
補完リソース
PWLのREADMEには、論文検索に役立つリソースも紹介されています。
- arXiv: 物理学・数学・CS論文のプレプリントサーバー
- Google Scholar: 学術論文の検索エンジン
- Microsoft Research: MS研究部門の論文
- ACM Digital Library: ACM発行の論文データベース
これらを組み合わせて使うと、より幅広い論文にアクセスできます。
まとめ
Papers We Loveは、エンジニアが基礎理論を学び直すのに最適なリソースです。10万スターという数字が示す通り、多くのエンジニアがこのコミュニティを支持しています。
30代になって思うのは、フレームワークやツールは移り変わっても、基礎理論は普遍的だということ。MapReduceの論文を読めばHadoopもSparkも理解しやすくなるし、Raftの論文を読めば分散合意の仕組みが腑に落ちます。
いきなり全部読もうとせず、興味のある分野から週1本ペースで始めてみてください。コミュニティのサポートもあるので、一人で挫折することも少ないはずです。
公式リンク